SaaSを始めとしたサブスクリプション型のサービス提供が増加し、注目を集めているカスタマーサクセス
この記事ではカスタマーサクセス職への転職に興味を持っている方向けにカスタマーサクセスとは何か、カスタマーサクセスのミッション、活かせる経験、今後の将来性について解説します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客の成功を第一目標とし、顧客を成功させることで自社の収益が付いてくるという考え方を指します。
自社の成功や収益のために顧客をサポートするのではなく、顧客の成功が先に立つという面に大きな違いがあります。
顧客の成功を実現するため、問い合わせの都度サポートするというスタンスではなく能動的に働きかけるというスタンスを持ちます。
これは、何もしなければ顧客は自然と離れていくというカスタマーサクセスとして大事な考え方があるためです。

身近な例で会員制のスポーツジムがあります。
ジムの器械や施設のルールについて、問い合わせに回答できるようスタッフを配置するのはもちろん重要です。
それに加え、新規会員登録時に入会の目的や実現したいことを顧客とすり合わせ、能動的に実現に向けてフォローをするスタッフがいれば、継続率はかなり高まるでしょう。
ただし、手厚いフォローを行うにはどうしても費用がかかります。
全ての顧客がそこまで費用をかけられる訳ではありません。
そこで、顧客から得られる収益などをもとに、どこまで能動的にサポートしていくかという段階を分ける必要が出てきます。
一般的には、以下3つの段階分けがされています。

▽ハイタッチ
期待継続売上が高く人手をかけても元手が取れる。
カスタマイズ性の高いサポートや、毎月の進捗確認打ち合わせ、担当者間による満足度の定期的な確認、現場視察などを実施
▽ロータッチ
ハイタッチほどの期待継続売上はないものの、担当をつけ個別に対応したい層
パッケージ的なサポートやシステム的な現状満足度調査などを実施
▽テックタッチ
期待LTVが低く担当者をつけずEメールなどのシステムのみで対応する層

このように、段階分けはあるものの、顧客の成功を実現するため能動的に支援を行うのがカスタマーサクセスであり、その目的は「顧客のロイヤルティを高める」ことです。

カスタマーサクセスの必要性が急に高まった背景

カスタマーサクセスが注目される以前から、顧客のロイヤルティを高めることは重要でした。
ただし、顧客のロイヤルティを高めることが企業収益へどう結びつくか直接的に算出・管理しにくかったこともあり 企業としてトッププライオリティの課題に設定できなかった背景があります。

しかしIT技術の進化・普及により定額制での(サブスクリプション型の)サービス提供が増加し、特にSaaS型ビジネスモデルが普及したことで顧客ロイヤルティ向上の必要性が急激に高まりました。
サブスクリプション型のサービス提供のため、顧客の継続的にサービスを契約・購入し続けてもうらことで売上総額を向上できるためです。

サービスの継続率などをもとに企業収益への貢献度合いを直接的に算出できるようになり、顧客ロイヤルティを高めるカスタマーサクセスの活動にどれだけ費用を投資すべきか管理が可能になったことで、カスタマーサクセスという機能・部署を作られることとなりました。

カスタマーサクセスのミッション・成果指標・KPI

カスタマーサクセスは顧客のロイヤルティを高めることで企業収益向上に繋げることを目的に、顧客の事業成功に貢献することをミッションとします。
カスタマーサクセスの企業収益向上における成果指標としては主に以下です。
・解約率の減少
・既存顧客からの売上増額(アカウント増加やクロスセル/アップセル)
・顧客満足度の向上

これらの成果指標を向上するため、以下のようなKPIを設定し、カスタマーサクセスのオペレーションを改善していきます。
・サービス契約直後の利用率
・サービスの使用率や使用頻度
 ーとくに利用価値の高いサービス/機能の使用率や使用頻度
・カスタマーサポートの利用状況
・顧客満足度調査結果
・マーケティングへの反応(サービス紹介のメールへの反応状況など)

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

ここまでの内容の整理を兼ねて、よく質問として挙がるカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを記載します。

▼ミッション
・カスタマーサポートは顧客の問題が生じた際に解決する
・カスタマーサクセスは顧客の事業成功実現に貢献する
▼課題解決のスタンス
・カスタマーサポートは要望や問い合わせの都度、対応し課題解決する
・カスタマーサクセスは能動的かつ先回りして課題解決する
▼顧客満足度の向上方法
・カスタマーサポートは人手を集め応答速度や応答内容の向上により顧客満足度を向上する
・カスタマーサクセスは将来顧客が発生する課題を予測・分析しあらかじめ対処することで顧客満足度を向上する
▼企業収益への貢献方法
・カスタマーサポートは効率的な活動によりサポートコストを削減することで企業収益に貢献する
・カスタマーサクセスは解約率の減少や既存顧客からの売上増加を実現することで企業収益に貢献する

顧客ロイヤルティを高めるという目的は一致しているものの、上記のように大きな役割の違いがあります。
そのためカスタマーサクセスとカスタマーサポートのチームを分けて設置している企業も多いです。

カスタマーサクセスに向いてる人

以下のような経験をし、成果を出している方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。

・課題解決型の提案営業経験
顧客に課題と重大であると認識させた上で解決方法として自社サービスを提案し、受注することが得意であった方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。
サービスを活用し課題解決する段階においても課題解決にむけて行動を促し巻き込んでいく力はカスタマーサクセスで活かせます。

・既存深耕法人営業経験
既存深耕法人営業として顧客のコンディションや課題を適切に把握しながら、自社サービスのアップセル/クロスセルやアカウント追加を行うことが得意であった方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。
ハイタッチモデルのカスタマーサクセスでも1人につき複数社担当を持ち、顧客の状況を定量/定性で把握しながら顧客の満足度を高めサービス継続やアップセル/クロスセル、アカウント追加を目指していきます。

・デジタルマーケティング経験
テックタッチモデルのカスタマーサクセスでは人を介さず顧客の事業成功を目指します。
デジタルマーケティングでのデータ分析やユーザインサイトをもとにし、ユーザに狙った行動を促すことが得意であった方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。

・コンサルティング経験
カスタマーサクセスでは顧客の期待値を調整しつつ、その期待を大きく超えることでユーザのロイヤリティを高めることが期待されます。
コンサルティングの提供において顧客の期待値を超えたサービスを提供し、満足度を高めることが得意であった方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。

・カスタマーサポート経験
顧客の課題をヒアリングし、適切な課題解決方法を提示するにとどまらず、能動的に顧客の今後起こり得る課題を推定し顧客の期待値を超える提案をすることが得意であった方はカスタマーサクセスに向いている可能性があります。

カスタマーサクセスの将来性

顧客にとってサブスクリプション型のサービスは、少ない初期費用で導入ができ、合わない場合契約を解除することで無駄な投資を抑えることができる顧客が有利な形態であるため、今後も様々なサービスがサブスクリプション化していき、カスタマーサクセスの機能・部署が増加していくと考えられます。
カスタマーサクセスを取り入れる企業の増加に対し、カスタマーサクセスの経験者は希少です。
今後もこの傾向が続くと考えられるため、カスタマーサクセス経験者の市場価値は高くなっていくと予想され、将来性のある職業だといえます。

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