営業職のインセンティブの平均相場はどれくらい? 仕組みやメリットなど転職に役立つ情報を解説

現在、多くの企業ではノルマを達成したり成果を上げたりといった営業担当者に対して、基本給とは別に報酬を支払うインセンティブ制度を導入しています。
成果を上げれば収入の大幅アップが期待できる営業インセンティブは非常に魅力的です。本記事では営業インセンティブの平均相場や仕組み、メリット、デメリット、収入アップのコツなどを徹底解説します。
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営業インセンティブとは?
営業インセンティブとは、営業職に従事する社員に対して会社から「報奨」を与えられる制度です。企業が定めたノルマなどの目標を達成した社員に支払う報酬で、「成果報酬」や「報奨金」「業績給」などの名目で基本給とは別に支給されます。
混同されやすい制度に「歩合制」があります。歩合制は、会社の売上実績に応じて「歩合給」という形で支払われるものです。例えば「1件の契約につき〇円を支給」「1件の契約につき利益の〇%を支給」など、会社によって規定が異なります。営業の功績に対して支給される報酬という意味では同じ性質を持っており、求人情報で「歩合あり」と記載されている場合、実質インセンティブに該当することもあります。
インセンティブを支給する目的は、おもに社員の仕事への意欲向上です。収入がアップすればおのずとやりがいを感じ、より一層仕事に邁進できます。意欲の高い営業社員が多くいれば会社の売り上げアップや事業の成功につながるでしょう。インセンティブは、給与やボーナスと同様に所得税や住民税などの課税対象となる報酬です。
営業インセンティブが支払われるケース
営業インセンティブは、会社によって支給条件や算出方法が異なります。次の2種類のケースが採用されていることが多いです。
・ノルマを達成した時に支給
・営業目標の達成率によって支給
営業ノルマは、契約件数や売上金額、新規顧客獲得数などが1か月単位や1年単位で設定されています。ノルマを達成すると「1件の契約につき〇円」「売上金額の〇%」など、相応のインセンティブが得られます。
営業目標は、1か月単位や四半期単位、年単位などの期間で達成すべき数値目標が掲げられており、達成率でインセンティブの金額が変わります。「100%で〇円」「50%で〇円」のように設定されています。当然、達成率が高いほど金額も高くなるでしょう。未達の場合は金額が低くなるか、目標から著しく乖離している場合は、インセンティブ自体がないケースもあります。
営業インセンティブの平均相場はどれくらい?
営業インセンティブは、企業の給与体系や業種によって若干の違いがありますが、平均的な相場は知っておきたいものです。自身の現在の給与との比較や転職を考える際の参考にしてください。
ノルマの超過分
営業ノルマが設定されている企業では、ノルマを超えた分の5%~20%がインセンティブの平均相場です。例えば1か月のノルマが売上200万円、インセンティブが10%で250万円の売上実績があった場合は、200万円を上回った50万円分の10%にあたる5万円が支給されます。売上実績が高いほど、インセンティブの金額は高くなります。
仲介手数料
不動産業界や自動車販売業界など、仲介手数料が企業の利益になる職種では、仲介手数料の5%~20%がインセンティブの平均相場です。例えば不動産売買などで50万円の仲介手数料を得て、インセンティブが10%の場合、5万円が支給されます。業種によってはノルマと仲介手数料、どちらにもインセンティブが発生するケースがあります。
営業インセンティブの相場は企業や業種によって大きく異なる
インセンティブの平均相場は、実際のところ企業の方針や業種、商習慣などによって大きく異なります。平均相場の金額以上になる40%の企業もあれば、5%以下の企業もあります。
「インセンティブあり」と求人情報に記載されていても、実際どれくらいの金額が支給されるのか、支給される条件は何なのか、詳しくは記載されていないことが多いです。就職・転職する際にはこうしたインセンティブなどの待遇について、確認しておきましょう。
完全歩合制の営業インセンティブの相場
完全歩合制(フルコミッション)営業の場合、文字通り報酬はすべて成果や売上実績に応じたインセンティブのみです。インセンティブの平均相場は30%〜50%と、他の営業職よりも高い割合ですが、基本給がなく売上が少ないと収入は低くなります。極端な例になりますが、まったく売上実績がなかった場合、収入がありません。
完全歩合制は、保険業界や不動産業界、金融商品業界などの業界で採用されています。正規の社員ではなく、業務委託という形で働いていることが多く、複数の企業と契約することも可能です。
自分だけの顧客を多数持っている人や完全歩合制で実績のある人におすすめです。初めて営業職にチャレンジする場合は、やはり固定給にインセンティブが加算される通常の営業のほうがよいでしょう。
金銭以外の営業インセンティブもある
営業インセンティブは金銭での支給に限りません。具体的には次のような種類があります。
・物質的インセンティブ
・人的インセンティブ
・評価的インセンティブ
・理念的インセンティブ
・自己実現的インセンティブ
それぞれについてどのような意味を持つのか解説します。
物質的インセンティブ
物質的インセンティブは、給与に加算されるインセンティブ以外に、商品券や旅行、社内通貨など物質的な報酬を与える制度です。近年では「カフェテリアプラン」というポイントを利用した選択型福利厚生制度が普及しています。企業が社員にポイントを与え、社員はポイントの範囲内でニーズに合ったサービスを利用できます。
サービスや物質的なインセンティブは、社員の満足度が高く、ロイヤルティの向上にもつながるでしょう。
人的インセンティブ
人的インセンティブとは上司や同僚など、ともに働く人たちとの関係を良好にして、社員の意欲を引き出す制度です。モノや金銭、報酬を与えるものではなく概念的なインセンティブに該当します。個人の意欲だけでなく「チームのために営業成績を上げたい」「上司の役に立つ仕事をしたい」といった気持ちを醸成します。
評価的インセンティブ
評価的インセンティブとは、目標達成に貢献した社員や営業成績の良い社員に対して、昇進・昇格や表彰などをおこなう制度です。昇進・昇格は「自分の働きは会社に認められている」という自信につながります。さらに他の社員が見ている前で表彰することで自己成長欲求が高まります。いずれも会社により貢献しようという思いが強くなり、周りの社員にも良い刺激になるでしょう。
理念的インセンティブ
理念的インセンティブとは、企業理念や展望に共感して意欲を高める制度です。社会的意義のある事業をおこなったり、社員が共感できる展望を掲げたりといった施策を実行します。社員は「自分の仕事は社会に貢献している」「多くの人々の役に立っている」と自信を持って職務に臨めます。
自己実現的インセンティブ
自己実現的インセンティブとは、仕事によって社員が持つ夢やビジョン、キャリアを実現させる制度です。具体的には次のような策が効果的です。
・希望するプロジェクトへの参加
・習得したいスキルに関連する研修への参加
・海外研修への参加
社員自身が目指すキャリアに直結するような機会を創出することで「現在の仕事は自分の夢につながるものだ」と実感できます。仕事に対するやりがいを感じ、意欲的になれます。
営業インセンティブ制度を導入している業界は?
すでにご紹介したように、営業インセンティブの相場や仕組みは業種によって大きく異なります。インセンティブ自体を採用していない企業や業種もあります。ここではインセンティブの導入率が高い業種ごとに特徴をご紹介します。
IT業界
IT業界は、社会全体でDX化が進んでいることもあり、注目度の高い業界です。扱う商材はITツールやソフトウェア、クラウドサービスなど専門性が高いのが特徴です。そのため、営業職にも高いITスキルやモチベーションが求められます。一般的に製品やサービスの契約件数や新規顧客獲得数が目標に達すれば、インセンティブが得られます。製品の単価の高さから、インセンティブも高額になり、給与の3〜4割を占めるケースもあります。
不動産業界
不動産や建物、土地などの売買や仲介をおこなう不動産業界もインセンティブを採用していることが多い業界です。賃貸仲介や売買仲介で発生する仲介手数料の5%〜30%がインセンティブに充当されます。多くの物件を扱えば、高収入が見込める業界です。
自動車販売業界
自動車販売業界の営業職の多くは自動車の販売件数が1か月のノルマに設定されています。ノルマを達成すると、ノルマを超えた金額のおおよそ10%〜20%がインセンティブとして支給されます。自動車の販売価格は幅広いため、インセンティブの額もバラつきがあるのが特徴です。
保険業界
保険業界はノルマやインセンティブの導入率が多い傾向にある業種として、一般的に広く知られています。給与体系には「歩合制」と外資系に多い「フルコミッション」が存在します。いずれも保険契約者の年間保険料に応じてインセンティブが支給されます。歩合制の場合は20%~30%、フルコミッションの場合は30%~50%です。
医療機器業界
医療機器業界の営業職は病院や福祉施設などに医療機器を販売する職種です。医療に関する豊富な知識を持ち、担当するクライアントが多くいる場合、多額のインセンティブが見込めます。40代で年収700〜800万円ほどです。企業や取り扱う医療機器によって異なるため、あくまでも目安としましょう。
人材業界
人材業界は企業に人材を紹介することで利益を得ているため、インセンティブにも紹介者数が大きく関わります。「目標達成型」「売上連動型」の2種のインセンティブがあります。前者は紹介者数や売上などの目標を達成した場合に一律で規定の金額が支給され、後者は転職成功者の入社後の年収に一定料率をかけた金額が支給されます。
営業インセンティブ制度がある企業で働くメリット
インセンティブ制度のある企業で営業職として働くと、基本給以上の収入が得られるのが最も大きなメリットといえます。その他の利点について解説します。
モチベーションアップにつながる
インセンティブによって基本給に報酬が加算されると、収入が増えてモチベーションも上がります。チーム単位でプロジェクトの成功や売上高貢献に対してインセンティブが支払われることもあります。全員の士気を上げる効果があり、生産性や帰属意識も高まるでしょう。
評価基準が明確になる
職務に意欲的に取り組んでいても、昇給や昇進などがなければ「自分は会社に評価されているのだろうか」と不安になるでしょう。その点、インセンティブ制度があれば自分の努力や尽力に対して、会社に評価されていることが明らかになります。評価されていると自信につながり、一層仕事に打ち込めます。
転職時に役立つ
インセンティブ制度で得た自分の実績は、転職時に役立ちます。金銭的なインセンティブに限らず、評価的インセンティブで表彰されたり昇格したりといった実績も自分の強みです。転職時に「前職ではこのような実績が評価されました」とアピールができます。
営業インセンティブ制度がある企業で働くデメリット
インセンティブがあることで営業職の中には「大変」「きつい」と感じる人もいます。ここではインセンティブ制のデメリットを解説します。
ノルマが達成できない場合は収入が減る
ノルマが達成できないと、インセンティブは支給されず収入は減ります。固定給だけで十分な収入があれば問題はないのですが、インセンティブに依存した生活をしている場合は困ったことになるでしょう。ノルマの達成度合いによって収入が大幅に変動するため、安定しないのがデメリットといえます。
社内で収入格差が生まれる可能性
個人にノルマを課している成果重視の企業では、社内で収入格差が生じやすくなります。同じ営業職に従事しているにも関わらず、同僚だけが収入が高いと意欲が低下します。意欲が低下するとさらに成果があげにくくなり、悪循環に陥ってしまいます。
基本給が低めに設定されている場合
インセンティブが高めの企業では、基本給を低めに設定していることが多いです。そのような場合、ノルマや目標を達成してインセンティブの支給で収入を安定させるしかありません。成果をあげることに過剰になってしまい、精神的プレッシャーを感じる人もいるでしょう。
営業インセンティブで収入アップをねらうコツ
安定した収入を得るためには、ノルマや目標を達成してできるだけ多くのインセンティブが支払われるよう努力することが必要です。そこでインセンティブで稼げるコツをご紹介します。
目標管理を徹底する
多くの企業では「1か月に〇件の契約獲得」など明確に目標が設定されているため、達成するために自分で目標達成までの計画と管理を徹底しましょう。常に進捗状況を確認し、成果が得られるよう戦略を練ります。成果をあげている上司や同僚に相談するのもよいでしょう。
営業スキルを磨く
自らの営業スキルを磨くための努力も大切です。セミナーに参加したり、書籍でインプットをしたりといった自己研鑽に努めましょう。扱っている商品やサービスへの深い理解も必要です。理解が中途半端なままでは顧客に勧めることもできません。次第に努力が反映され、営業スキルが身についているのを実感できるでしょう。
顧客との良好な関係継続
営業担当者を信頼してくれる顧客との良好な関係継続は大切です。長く良い関係を維持していれば、機会があれば再度商品を購入してくれたり、知り合いを紹介してくれたりといったことがあります。誠実な対応や定期的なサポートなどを心がけ信頼関係を築きましょう。
営業職を目指すならインセンティブの相場を知って賢い転職を
営業職は給与以外にインセンティブがあり、がんばり次第で収入アップが見込めるやりがいのある仕事です。転職する際にはインセンティブの相場や仕組みを正確に把握して、企業の給与体系など条件面をしっかり精査したいものです。営業職に特化した転職エージェントは、インセンティブ制度にも精通しています。自分に合った最適な転職先が見つかるでしょう。
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